『黒アリス』第122章〜4家の当主〜
最初に入って飛びかったのは他の、黄家の当主からのエーデル対して、赤家に対しての暴言だった。
「赤家の当主がこんな若造だからいけないのだ。会議にも遅れてきよって。」
エーデルは慣れているのかそんなことを気にせずに、顔色一つ変えず、文句を言った。
「アルメリア様。他の3家の当主様。遅れて申し訳ありませんでした。」
「大丈夫ですよ。エーデル。まだ四年しか当主の仕事をしてないのですから。ゆっくり直していけばいい。それに今回は時間が曖昧だったこちらの責任」
「しかし、アルメリア様。今回の話し合いは赤家の小僧のためのもの。本来ならそこの当主がちゃんと来ているはず。当主があんなんじゃ赤家の衰退化が目に見えるわ」
「黄家の当主。エーデル殿したことは確かに許されることではない。しかしエーデル殿はまだ当主になって日が浅い。仕方がないのでは」
「白家の当主のいうとおりだ。そうやって皮肉を言うより、私達がちゃんと若き赤家の当主に当主というものを教えて行くべきですよ。黄家の当主」
青家と白家の当主がエーデルをかばうと黄家の当主は嫌な顔をしながらエーデルをみた。
エーデルは何も言わずに席に座った。その直後だった。
鈴蘭の声が扉の向こうから聞こえた。
「アルメリア様。プルメリア様、アシタバ様、シルヴァナ様、赤様をお連れしました。」
「入ってください。」
5人が入ってきてアルメリアの両側にある椅子に座っていく。
アシタバは座る前に黄家の当主の前に立った。
「あんたの声、外に丸聞こえだったぜ。黄家の当主、クレソン様。俺のこと覚えてるか」
クレソンは苦笑いをした。
「ああ、覚えている。きっとこの世界の今までのウサギの中で一番優秀だと言われた赤ウサギ。アシタバ……」
「それだけじゃないだろう。ウサギを決める最後の大会で俺の最後の相手。あんたは俺にあの大会で勝てばウサギになれた。けど、あんたは俺にあと一歩の差で負けた。」
「何を言いたい?」
「あんたは俺の戦った中でも一番強かった。賢かった。だからわかってるはずだ。赤家は俺の親父の代から衰退化していた。エーデルは関係ないはずだ。これからの赤家はコイツが変えていく。……いいか。あんただけじゃない。これから、この会議で他の当主やその家を侮辱した当主は俺がぶった斬るからな」
アシタバの言葉を聞いて、4人の当主だけでなく、アシタバの顔を見た連中はこいつは本気だと思った。
アシタバが席につくとアルメリアがアシタバに近づく。
「アシタバ。やりすぎです」
「アルメリア様。……こうでもしなかったらあいつ黙らなかったですよ」
アシタバが小声で言った。
アルメリアは溜め息つく。
そして飛燕を見た。
「飛燕、中央に……。」
飛燕は言われた通りに進んだ。
「これから会議を始めます。」
その声でその場は一旦静かになる。
***つづく***
「赤家の当主がこんな若造だからいけないのだ。会議にも遅れてきよって。」
エーデルは慣れているのかそんなことを気にせずに、顔色一つ変えず、文句を言った。
「アルメリア様。他の3家の当主様。遅れて申し訳ありませんでした。」
「大丈夫ですよ。エーデル。まだ四年しか当主の仕事をしてないのですから。ゆっくり直していけばいい。それに今回は時間が曖昧だったこちらの責任」
「しかし、アルメリア様。今回の話し合いは赤家の小僧のためのもの。本来ならそこの当主がちゃんと来ているはず。当主があんなんじゃ赤家の衰退化が目に見えるわ」
「黄家の当主。エーデル殿したことは確かに許されることではない。しかしエーデル殿はまだ当主になって日が浅い。仕方がないのでは」
「白家の当主のいうとおりだ。そうやって皮肉を言うより、私達がちゃんと若き赤家の当主に当主というものを教えて行くべきですよ。黄家の当主」
青家と白家の当主がエーデルをかばうと黄家の当主は嫌な顔をしながらエーデルをみた。
エーデルは何も言わずに席に座った。その直後だった。
鈴蘭の声が扉の向こうから聞こえた。
「アルメリア様。プルメリア様、アシタバ様、シルヴァナ様、赤様をお連れしました。」
「入ってください。」
5人が入ってきてアルメリアの両側にある椅子に座っていく。
アシタバは座る前に黄家の当主の前に立った。
「あんたの声、外に丸聞こえだったぜ。黄家の当主、クレソン様。俺のこと覚えてるか」
クレソンは苦笑いをした。
「ああ、覚えている。きっとこの世界の今までのウサギの中で一番優秀だと言われた赤ウサギ。アシタバ……」
「それだけじゃないだろう。ウサギを決める最後の大会で俺の最後の相手。あんたは俺にあの大会で勝てばウサギになれた。けど、あんたは俺にあと一歩の差で負けた。」
「何を言いたい?」
「あんたは俺の戦った中でも一番強かった。賢かった。だからわかってるはずだ。赤家は俺の親父の代から衰退化していた。エーデルは関係ないはずだ。これからの赤家はコイツが変えていく。……いいか。あんただけじゃない。これから、この会議で他の当主やその家を侮辱した当主は俺がぶった斬るからな」
アシタバの言葉を聞いて、4人の当主だけでなく、アシタバの顔を見た連中はこいつは本気だと思った。
アシタバが席につくとアルメリアがアシタバに近づく。
「アシタバ。やりすぎです」
「アルメリア様。……こうでもしなかったらあいつ黙らなかったですよ」
アシタバが小声で言った。
アルメリアは溜め息つく。
そして飛燕を見た。
「飛燕、中央に……。」
飛燕は言われた通りに進んだ。
「これから会議を始めます。」
その声でその場は一旦静かになる。
***つづく***
テーマ : 自作連載ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学
『黒アリス』第121章〜会議室の前にて〜
アルメリアに来いと言われ、鈴蘭に連れられて飛燕は会議室の前に立っていた。
普段会議室は女王である者と赤、黄、白、青の4家の当主。
そしてその女王のウサギだった者しか入ることが許さない。
「俺が入っていいのか……?」
「何で俺を睨むんだよ。飛燕は真面目過ぎるな。アルメリア様がお前をここに呼び出したんだ。今回は特例だ。しかものここにはお前以外にも入ってはいけない奴も呼ばれている。この戦いに関わり、未来が変わった者達。そして、それはお前がこの先を決める事によって伝えなくてはならない事がある。これらが全てこの世界に関わる」
「……鈴兄は入るのか?」
「俺?俺は関係ないけど、だいたいは把握しているからこの扉の前で見張り」
飛燕はふーん、と言って扉をみた。
「緊張してんのか?怖いのか?」
鈴蘭は少し背の低い飛燕を見る。
飛燕は鈴蘭にちゃんと答えようとした。
その時だった。懐かしい声がしたのは……。
「よう、隊長。飛燕久し振り。隊長、もしかして俺遅刻。」
飛燕が向くと飛燕の従兄弟であり、四年前まで鈴蘭の部下であったエーデルがいた。
飛燕が知る限りは鈴蘭がタメで話す数少ない人間の1人でもある。
「お前な飛燕はともかく俺はこの間あったばかりだろう。」
「部屋にこもってばっかりいると時間の感覚がおかしくなるんだよ。で、遅刻だよな。飛燕がもういるってことは……」
エーデルは笑ってごまかす。
そんな二人の会話を聞いてた飛燕が口を挟んだ。
「なぁ、なんでエーデルがここにいるんだよ」
「「っえ?」」
飛燕の言葉に二人は驚いた。
しばらくするとエーデルの方はなにやら納得したらしくそのわけを話した。
「飛燕は冬服と夏服を取り替えるためにしか家に戻ってこないし、本家にも顔出さないもんな。知らなくて当然か俺は四年前に隊長の部下を辞めてからずっと赤家の当主やってんだよ」
「何でエーデルが……」
「知らなかったのか?俺の親父も飛燕の親父も前当主の息子だったんだ。」
「なるほど。だからアスター叔父さんの誕生日を本家で祝ってたのか」
鈴蘭はそれでも納得できないものをそれだけで納得した飛燕に内心驚いていた。
そして、扉を見る。
「飛燕、エーデル。そろそろ時間だ二人とも入れ」
そういって扉を開けた。
***つづく***
やっと受験に開放されたので描いていきたいと思います
普段会議室は女王である者と赤、黄、白、青の4家の当主。
そしてその女王のウサギだった者しか入ることが許さない。
「俺が入っていいのか……?」
「何で俺を睨むんだよ。飛燕は真面目過ぎるな。アルメリア様がお前をここに呼び出したんだ。今回は特例だ。しかものここにはお前以外にも入ってはいけない奴も呼ばれている。この戦いに関わり、未来が変わった者達。そして、それはお前がこの先を決める事によって伝えなくてはならない事がある。これらが全てこの世界に関わる」
「……鈴兄は入るのか?」
「俺?俺は関係ないけど、だいたいは把握しているからこの扉の前で見張り」
飛燕はふーん、と言って扉をみた。
「緊張してんのか?怖いのか?」
鈴蘭は少し背の低い飛燕を見る。
飛燕は鈴蘭にちゃんと答えようとした。
その時だった。懐かしい声がしたのは……。
「よう、隊長。飛燕久し振り。隊長、もしかして俺遅刻。」
飛燕が向くと飛燕の従兄弟であり、四年前まで鈴蘭の部下であったエーデルがいた。
飛燕が知る限りは鈴蘭がタメで話す数少ない人間の1人でもある。
「お前な飛燕はともかく俺はこの間あったばかりだろう。」
「部屋にこもってばっかりいると時間の感覚がおかしくなるんだよ。で、遅刻だよな。飛燕がもういるってことは……」
エーデルは笑ってごまかす。
そんな二人の会話を聞いてた飛燕が口を挟んだ。
「なぁ、なんでエーデルがここにいるんだよ」
「「っえ?」」
飛燕の言葉に二人は驚いた。
しばらくするとエーデルの方はなにやら納得したらしくそのわけを話した。
「飛燕は冬服と夏服を取り替えるためにしか家に戻ってこないし、本家にも顔出さないもんな。知らなくて当然か俺は四年前に隊長の部下を辞めてからずっと赤家の当主やってんだよ」
「何でエーデルが……」
「知らなかったのか?俺の親父も飛燕の親父も前当主の息子だったんだ。」
「なるほど。だからアスター叔父さんの誕生日を本家で祝ってたのか」
鈴蘭はそれでも納得できないものをそれだけで納得した飛燕に内心驚いていた。
そして、扉を見る。
「飛燕、エーデル。そろそろ時間だ二人とも入れ」
そういって扉を開けた。
***つづく***
やっと受験に開放されたので描いていきたいと思います
テーマ : 自作連載ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学
『黒アリス』第120章〜お見舞い〜
鈴蘭が気を使って部屋を出て行ったはずだったのだが……。
数分もしないうちにいろんな人が飛燕の部屋に来て、プルメリアは鈴蘭と同じように気を使い部屋を出て行った。
というより飛燕にはそれをいいわけにして逃げたように見えた。
でもそれは飛燕だけでなく飛燕の部屋にきたサクラにもそう見せたようである。
「逃げたな。飛燕。何かした」
「言うな!それに何もしてない。ただ……」
「ただ?」
「強く抱きしめただけだ」
「ふ〜ん。じゃああの事か?まだ話してないのか」
「あの事?」
「気にするな。忘れろ。いずれアルメリア様に呼ばれて知ることになるだろうし」
サクラがそういいながら飛燕の部屋についているキッチンに立つ。
「なんか作ろうか?」
「いい。それよりサクラはなんでこっちに戻って来たんだ」
「お前達が心配だったって言うのもあるけど……。アルメリア様に呼ばれてな。遅くなったけどプルメリアと黒アリスの16の誕生日パーティーするってそのパーティーのメニューを任されたわけだ」
「パーティーっていつだ。」
「お前が起きたらって言ってたから今日か明日だろう」
「今夜だそうだ。飛燕。サクラ早く行かないと間に合わないぜ」
そう言って入って来たのはアシタバだった。
ほんじゃっと言ってサクラは部屋を出ていく。
「何しに来たんだ。父さん」
「いや〜。何しに来たはないだろう。お前が心配だっただけだ。ただお前に伝えなきゃいけないことがあってな。」
「伝えなきゃいけないこと?」
「あの事はプルメリアから聞いたか」
「あの事ってなんだよ。さっきもサクラが言ってたけど」
「ああ〜。確かに自分からじゃ言えないな。まあ、そんなことはどうでもいい」
(どうでもよくない……)
「実はな。こっちに、夢都に戻ってこようと思うんだ。つうかもう戻ってきたんだ」
「なんで急に」
「あ…うん。チェシャ猫族の仕事は終わったし、雇い主の代理人のところ行ったら。もうこっちに戻るなり、あっちに残るなり自由にしていいと言われたんでな。そしたら新しい依頼が来たんでそのためにこっちに戻ることにしたんだ。チェシャ猫族の人達はあっちに残るとさ」
「そうか……。」
「どうした。飛燕。」
「いや、これから先をさ、どうしようかってさ」
「別にいいぞ。お前がウサギに戻りたければ戻っても」
飛燕はアシタバの言葉に目を丸くした。
「どうして急に……」
「状況が変わったんだよ。だから俺がお前とプルメリアのことで口出すことはもうないんだ」
そうアシタバに言われて飛燕が出した答えはひとつしかなかった。
ウサギに戻ってプルメリアをそばで守っていく。
アシタバが部屋から出ていき、他の者達が自分のお見舞いに来ていて話している間ずっとそう考えていた。
アルメリアに呼ばれるまでは……。
***つづく***
数分もしないうちにいろんな人が飛燕の部屋に来て、プルメリアは鈴蘭と同じように気を使い部屋を出て行った。
というより飛燕にはそれをいいわけにして逃げたように見えた。
でもそれは飛燕だけでなく飛燕の部屋にきたサクラにもそう見せたようである。
「逃げたな。飛燕。何かした」
「言うな!それに何もしてない。ただ……」
「ただ?」
「強く抱きしめただけだ」
「ふ〜ん。じゃああの事か?まだ話してないのか」
「あの事?」
「気にするな。忘れろ。いずれアルメリア様に呼ばれて知ることになるだろうし」
サクラがそういいながら飛燕の部屋についているキッチンに立つ。
「なんか作ろうか?」
「いい。それよりサクラはなんでこっちに戻って来たんだ」
「お前達が心配だったって言うのもあるけど……。アルメリア様に呼ばれてな。遅くなったけどプルメリアと黒アリスの16の誕生日パーティーするってそのパーティーのメニューを任されたわけだ」
「パーティーっていつだ。」
「お前が起きたらって言ってたから今日か明日だろう」
「今夜だそうだ。飛燕。サクラ早く行かないと間に合わないぜ」
そう言って入って来たのはアシタバだった。
ほんじゃっと言ってサクラは部屋を出ていく。
「何しに来たんだ。父さん」
「いや〜。何しに来たはないだろう。お前が心配だっただけだ。ただお前に伝えなきゃいけないことがあってな。」
「伝えなきゃいけないこと?」
「あの事はプルメリアから聞いたか」
「あの事ってなんだよ。さっきもサクラが言ってたけど」
「ああ〜。確かに自分からじゃ言えないな。まあ、そんなことはどうでもいい」
(どうでもよくない……)
「実はな。こっちに、夢都に戻ってこようと思うんだ。つうかもう戻ってきたんだ」
「なんで急に」
「あ…うん。チェシャ猫族の仕事は終わったし、雇い主の代理人のところ行ったら。もうこっちに戻るなり、あっちに残るなり自由にしていいと言われたんでな。そしたら新しい依頼が来たんでそのためにこっちに戻ることにしたんだ。チェシャ猫族の人達はあっちに残るとさ」
「そうか……。」
「どうした。飛燕。」
「いや、これから先をさ、どうしようかってさ」
「別にいいぞ。お前がウサギに戻りたければ戻っても」
飛燕はアシタバの言葉に目を丸くした。
「どうして急に……」
「状況が変わったんだよ。だから俺がお前とプルメリアのことで口出すことはもうないんだ」
そうアシタバに言われて飛燕が出した答えはひとつしかなかった。
ウサギに戻ってプルメリアをそばで守っていく。
アシタバが部屋から出ていき、他の者達が自分のお見舞いに来ていて話している間ずっとそう考えていた。
アルメリアに呼ばれるまでは……。
***つづく***
テーマ : 自作連載ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学
『黒アリス』第119章〜本音、約束、自分。そして帰還〜
紅を倒し、寝てしまった時。
目を開けると飛燕の前には真っ白な世界が広がっていた。
飛燕の中からオレンジの光が現れ、それが虹の姿になった。
『こうやって遭うのは初めてだよな。紅のことありがとな』
「なあ、本当にあれでよかったのか虹」
『ああ、よかったんだ』
「何言ってんだよ!嘘つくなよ。あの時……紅が死んで泣いてたのは俺じゃない。お前だろう」
虹が笑って答えたから飛燕は思わず胸倉を掴んで怒鳴った。
「なんでだよ。なんでいつもあんたは自分に嘘をつくんだよ」
『柱もしくはこの世界を守るためなら俺は自分を殺した。俺は守る者だったから。それを一番とした。俺は凪を好きでも想いを伝えなかったのは守る者と柱になる者の血を途絶えさせないためだ』
「……」
飛燕はゆっくり手を離す。
『だからってお前があの娘と結ばれてはいけないとは言ってない。飛燕。お前の前世が俺でも俺は俺、お前はお前だ。正直に生きたかったら正直に生きてみればいい』
飛燕は静かにこくりと頷く。
『確かにお前は小さい頃から嘘つかれるの嫌いだったよな。だから言っておく。俺は小さい頃から凪と紅が大好きだった。だから紅を殺したくないとも助けたいとも思った。お前が出した答えと一緒さ。俺も凪と一緒でまた3人で笑えたら、そう思った。でも、アイツの目を見た瞬間ムリだと思ったんだよな。俺の知らない紅がいたんだ。俺はアイツを取り戻したかった。紅の憎しみの元凶は俺の親父だ。だから親父への復讐さえ終われば、俺を殺せば紅の憎しみが消えると思った。だったら死んでもいいと思った。結局、アイツにさらなる憎しみと苦しみを与えてしまったがな。約束したんだ。紅にお前の憎しみを俺が止めてやるって。だからよかったんだこれで……』
虹は苦笑しながら言ったが一旦黙って続けて言った。
『でも、本当は殺したくはなかった。けど、もう紅を止める方法がこれしか思いつかなかったんだ。ごめん。紅。ごめん。凪……。約束…何も……守れなかった』
それは虹の本当の想いだったのだろうか。
虹は拳を握り、目から少し涙が出た。
虹がした約束……。
ずっと凪を護ること
大きくなったら凪と結婚すること。
紅を助けること。
そして、ある木の下でまた3人で笑うこと。
虹は涙を流したまま黙っていた。
飛燕はそんな虹を見て言った。「
あのさ、俺は一つは守れたと思うよ。紅が死ぬ直前に言ってただろう。約束を守ってくれてありがとうって、きっと助けることが出来たんだ」
飛燕がそう言った瞬間。
虹はなんだか少し救われたような気がした。
『うん。うん……。そう言ってもらうと少し楽になるよ』
虹は笑って言った。
それから何か思い出したかのように話した。
『さて、これ以上アイツを待たせたら可哀想だ。飛燕、ありがとうな。お別れだ』
「なあ、虹……。また逢えるよな」
『本当は前世の者と現世の者が逢い話すって行為はいけないんだが、お前が逢いたいと思うなら夢の中でまた逢える』
「夢の中?」
『《夢》と魂は同じであり。また《夢》は前世と現世の記憶を持つものである。そして《夢》は意思をもち、気まぐれな生き物である……。俺は今、お前の《夢》でもあるんだ。昔、俺と凪が誰かの《夢》であったように。さあ、飛燕一旦目を瞑れ』
飛燕は言われた通り目を瞑った。
『そうだ赤に伝えてほしいことがあるんだ。それと…………』
飛燕は聞き終えるとゆっくり目をあけた。
するとそこには虹の姿はなかった。
代わりにそこにはプルメリアがいて、今は鈴蘭とこうして話している。
「つまり、飛燕は虹の生まれ変わりってことか」
鈴蘭の言葉に飛燕は静かに頷く。
「俺、ずーっと考えてたんだ。戦ってる最中……俺は誰なんだろうって。けど虹が言ってくれた。お前はお前だって。なあ、俺は俺として生きていいんだよな。」
「当たり前だ。お前が誰の生まれ変わりだとしても飛燕は飛燕だ。俺の知ってる飛燕だよ」
鈴蘭は飛燕の問いに答えると席を立つ。
「どこか行くのか?」
「アルメリア様にお前が起きたって報告しなくちゃいけないんだ。それにやっと落ち着いた状態で2人っきりになれるんだろう」
鈴蘭に言われてプルメリアを見る。
プルメリアを起こそうとする前に飛燕はふと思う。
(鈴兄、俺のこと好きって言ってたよな)
「なあ、いいのか鈴兄。俺とプルメリアを2人っきりにして」
「複雑な気分だけどな、飛燕はプルメリアと一緒にいた方が幸せだろう?俺はお前が幸せならいいんだ。お前がプルメリアの幸せを思うようにな」
「鈴兄。いつもありがとうな」
「じゃあ、数時間後にアルメリア様がお前を呼び出すまでに先のことを決めとけよ」
鈴蘭はそれだけ言って部屋を出ていく。
部屋が静かになると飛燕はプルメリアを起こす。
「プルメリア……。プルメリア、起きろ」
「ん……。飛燕。起きたの」
プルメリアがすごくうれしそうに目をキラキラさせて言った。
その顔が面白くて飛燕は苦笑する。
「うん。もう全部終わったんだ」
「お帰りなさい。飛燕」
「ただいま。プルメリア」
飛燕はそう言い終わると我慢できずプルメリアを抱きしめた。
「飛燕。少し痛い」
「うん。……うん。」
飛燕はさらに強く抱きしめた。
この時間が終わればアシタバとの約束のために当分プルメリアに会えなくなるとこの時飛燕は覚悟していたからだった。
****つづく***
目を開けると飛燕の前には真っ白な世界が広がっていた。
飛燕の中からオレンジの光が現れ、それが虹の姿になった。
『こうやって遭うのは初めてだよな。紅のことありがとな』
「なあ、本当にあれでよかったのか虹」
『ああ、よかったんだ』
「何言ってんだよ!嘘つくなよ。あの時……紅が死んで泣いてたのは俺じゃない。お前だろう」
虹が笑って答えたから飛燕は思わず胸倉を掴んで怒鳴った。
「なんでだよ。なんでいつもあんたは自分に嘘をつくんだよ」
『柱もしくはこの世界を守るためなら俺は自分を殺した。俺は守る者だったから。それを一番とした。俺は凪を好きでも想いを伝えなかったのは守る者と柱になる者の血を途絶えさせないためだ』
「……」
飛燕はゆっくり手を離す。
『だからってお前があの娘と結ばれてはいけないとは言ってない。飛燕。お前の前世が俺でも俺は俺、お前はお前だ。正直に生きたかったら正直に生きてみればいい』
飛燕は静かにこくりと頷く。
『確かにお前は小さい頃から嘘つかれるの嫌いだったよな。だから言っておく。俺は小さい頃から凪と紅が大好きだった。だから紅を殺したくないとも助けたいとも思った。お前が出した答えと一緒さ。俺も凪と一緒でまた3人で笑えたら、そう思った。でも、アイツの目を見た瞬間ムリだと思ったんだよな。俺の知らない紅がいたんだ。俺はアイツを取り戻したかった。紅の憎しみの元凶は俺の親父だ。だから親父への復讐さえ終われば、俺を殺せば紅の憎しみが消えると思った。だったら死んでもいいと思った。結局、アイツにさらなる憎しみと苦しみを与えてしまったがな。約束したんだ。紅にお前の憎しみを俺が止めてやるって。だからよかったんだこれで……』
虹は苦笑しながら言ったが一旦黙って続けて言った。
『でも、本当は殺したくはなかった。けど、もう紅を止める方法がこれしか思いつかなかったんだ。ごめん。紅。ごめん。凪……。約束…何も……守れなかった』
それは虹の本当の想いだったのだろうか。
虹は拳を握り、目から少し涙が出た。
虹がした約束……。
ずっと凪を護ること
大きくなったら凪と結婚すること。
紅を助けること。
そして、ある木の下でまた3人で笑うこと。
虹は涙を流したまま黙っていた。
飛燕はそんな虹を見て言った。「
あのさ、俺は一つは守れたと思うよ。紅が死ぬ直前に言ってただろう。約束を守ってくれてありがとうって、きっと助けることが出来たんだ」
飛燕がそう言った瞬間。
虹はなんだか少し救われたような気がした。
『うん。うん……。そう言ってもらうと少し楽になるよ』
虹は笑って言った。
それから何か思い出したかのように話した。
『さて、これ以上アイツを待たせたら可哀想だ。飛燕、ありがとうな。お別れだ』
「なあ、虹……。また逢えるよな」
『本当は前世の者と現世の者が逢い話すって行為はいけないんだが、お前が逢いたいと思うなら夢の中でまた逢える』
「夢の中?」
『《夢》と魂は同じであり。また《夢》は前世と現世の記憶を持つものである。そして《夢》は意思をもち、気まぐれな生き物である……。俺は今、お前の《夢》でもあるんだ。昔、俺と凪が誰かの《夢》であったように。さあ、飛燕一旦目を瞑れ』
飛燕は言われた通り目を瞑った。
『そうだ赤に伝えてほしいことがあるんだ。それと…………』
飛燕は聞き終えるとゆっくり目をあけた。
するとそこには虹の姿はなかった。
代わりにそこにはプルメリアがいて、今は鈴蘭とこうして話している。
「つまり、飛燕は虹の生まれ変わりってことか」
鈴蘭の言葉に飛燕は静かに頷く。
「俺、ずーっと考えてたんだ。戦ってる最中……俺は誰なんだろうって。けど虹が言ってくれた。お前はお前だって。なあ、俺は俺として生きていいんだよな。」
「当たり前だ。お前が誰の生まれ変わりだとしても飛燕は飛燕だ。俺の知ってる飛燕だよ」
鈴蘭は飛燕の問いに答えると席を立つ。
「どこか行くのか?」
「アルメリア様にお前が起きたって報告しなくちゃいけないんだ。それにやっと落ち着いた状態で2人っきりになれるんだろう」
鈴蘭に言われてプルメリアを見る。
プルメリアを起こそうとする前に飛燕はふと思う。
(鈴兄、俺のこと好きって言ってたよな)
「なあ、いいのか鈴兄。俺とプルメリアを2人っきりにして」
「複雑な気分だけどな、飛燕はプルメリアと一緒にいた方が幸せだろう?俺はお前が幸せならいいんだ。お前がプルメリアの幸せを思うようにな」
「鈴兄。いつもありがとうな」
「じゃあ、数時間後にアルメリア様がお前を呼び出すまでに先のことを決めとけよ」
鈴蘭はそれだけ言って部屋を出ていく。
部屋が静かになると飛燕はプルメリアを起こす。
「プルメリア……。プルメリア、起きろ」
「ん……。飛燕。起きたの」
プルメリアがすごくうれしそうに目をキラキラさせて言った。
その顔が面白くて飛燕は苦笑する。
「うん。もう全部終わったんだ」
「お帰りなさい。飛燕」
「ただいま。プルメリア」
飛燕はそう言い終わると我慢できずプルメリアを抱きしめた。
「飛燕。少し痛い」
「うん。……うん。」
飛燕はさらに強く抱きしめた。
この時間が終わればアシタバとの約束のために当分プルメリアに会えなくなるとこの時飛燕は覚悟していたからだった。
****つづく***
テーマ : 自作連載ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学




